遺跡観光の街・シェムリアップから街角案内やホットな話題をお届け。今回はカンボジアのサーカス団、「ファー」について。バッタンバンからシェムリァップにやってきて今年で5年、ますますパワーアップしています。
華麗なアクロバットで大人気のファーサーカスが開演5周年! ますます内容充実のスーパーパフォーマンスを観劇しよう
観光都市シェムリアップの新感覚なエンターテイメントとして観光客から人気を博している「Phare, The Cambodian Circus(ファーサーカス)」が、今年2月で開演5周年を迎えた。一層磨きのかかった「アクロバット&ドラマ」というユニークな舞台パフォーマンスは、シェムリァップに来たなら一度は訪れていただきたいイチオシのアート鑑賞スポットだ。
ファーサーカスは、内戦時代の難民キャンプの若者たちが始めた美術スクールに起源があり、子どもたちに絵画、デザイン、音楽などを教えるバッタンバンのNGO「PharePonleuSelpak(PPS/芸術の光)」が母体。カンボジアの若者たちによる舞台アートとして、2013年2月にシェムリァップ初演を行って以来、大型テントの常設ステージ「ビッグトップ」で毎夜上演している(※2016年に現在の場所に移転)。
一般的なサーカスのイメージとは一味違い、ファーサーカスには動物も空中ブランコもオートバイもピエロも出てこない。代わりに10人前後のチームが、アクロバットを駆使したドラマを演じる。
例えば代表作である「Eclipse/エクリプス(月蝕)」は、月蝕の夜は不可思議なことが起こるというカンボジアの伝承を土台に、村でいじめられていた若者がある月蝕の夜、美しい娘に変身してリベンジするという異色の物語。見所はやはり、次々登場するスーパーアクションの数々だが、奇抜なストーリー展開や演出など作品としての味わいも深い。
このほかにも人間ドラマや社会性を帯びた意欲作、軽快なコメディなど多様な作品群があり、見応えのある舞台エンターテイメントに仕上がっている。舞台袖での生演奏も迫力満点だ。
今年の上演演目は「エクリプス」のほか、「Same Same but Different/セイムセイム・バット・ディファレント」「Influence/インフルエンス」「Khmer Metal/クマエメタル」の4本が中心。1回の公演で上演時間約1時間の1作品が演じられ、基本的に1週間程度同じ演目が続くというスケジュールとなっている。
団員には貧しい家庭出身者も多く、プロの舞台アーティストとなることで家族を支える安定収入が得られるという。また公演収入はPPSの学校運営費にも充てられる。この5年間で上演された作品は計9作。例えばハイシーズンには毎月9,000人を超える観客が来場することもしばしばで、連日満席という大人気ぶりだ。海外公演も盛んに行っており日本をはじめ、欧米各国、オーストラリアなど数カ国で華麗なショーを披露した。
会場は市街地西端のリングロード沿いで、オールドマーケットからなら西へ約2キロ。大きな赤いテントが目印で、敷地内にはカンボジア産のクラフトショップやカフェもあり、公演前にショッピング等を楽しめる。
開演は午後8時(開演後の入場不可)。上演時間約1時間。チケットはA〜C席が38〜18ドル(指定席、自由席。子ども料金あり)。ハイシーズンはもちろん、ローシーズン中(4〜10月)でもA席、B席を中心に満席になることもあるので、事前予約が望ましい。詳しくは公式サイト等で事前確認を。
INFO
Phare, The Cambodian Circus
Add: No.1855, Svay Dangkom Village,
Sangkat Svay Dangkom, Siem Reap
Tel: 015-499-480, 092-225-320
Web: https://pharecircus.org/
(2018年4月発行 NyoNyum94号より)
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