先日、カンボジアを代表する伝統文化であるRoyal Ballet of Cambodiaを鑑賞してきました。今回はその様子をお伝えしたいと思います。

(会場に設置された”The Royal Ballet of Cambodia”のパネル)

(会場となったChaktomuk Theater。1950-1960年代に広まった建築様式、New Khmer Architectureを代表する建築家、Vann Molyvannが設計したことでも知られる)
Royal Ballet of Cambodiaとは
Khmer Classical Danceとしても知られる繊細なハンドジェスチャーと光り輝く衣装が特徴のカンボジアの伝統的な踊り。王族の儀式や結婚式や葬式といった慣例で披露されるクメール文化の象徴として親しまれてきました。一般の人の前でも披露されるようになったのはここ最近のことだそうで、2008年にはユネスコの無形文化遺産にも登録されています。
Royal Ballet of Cambodiaは、2012年に亡くなったシハヌーク前国王の娘であり、自身もRoyal Balletの踊り子であるNorodom Buppha Deviさんが現在Directorを務めており、実際に今回の演目に向けた踊りの指導もされたそうです。

(複雑で繊細な手先の動きと神々しい衣装が特徴)
作品”Neang Watthana Devi”
今回披露された作品”Neang Watthana Devi”は、彫刻の父として知られるフランスの彫刻家Auguste Rodianさんがパリを訪れた際に鑑賞したとされる作品に基づいて制作された新たな演目です。純粋で完璧な美しさをもつ女性、Neang Watthana Deviのお話。
彼女はその美しさから神であるRakiの嫉妬を買うところから話が始まります。Rakiは嫌がらせとして彼女が鳥の化身であるSambaliと恋に落ちるよう魔法をかけることを思いつき、そのミッションを兄弟であるSamidhaに依頼します。
Samidhaは魔法をかけようとDeviに目掛けて矢を放とうとしますが彼女の美しさに魅せられ矢を放つことを断念し…
という感じで物語は進んでいきます。

(Devi/写真左と、Samiddha/写真右)
会場の様子
1月18日(金)、19日(土)に行われた計4公演のうち、私は19日の第1部(夕方の部)を鑑賞しました。
会場は多くの人たちで賑わっており、カンボジア人だけでなく、欧米など様々な国からのお客さんも多く見受けられました。

(公演中の会場内の様子)
公演中は場面ごとの説明書きが英語とフランス語でスクリーンに表示されるため、話についていけなくなる心配はありません。
美しすぎるDeviを巡って物語は波乱の展開に。足元から指先まで緻密な動きから表現される登場人物の感情の変化はもちろん、観覧者を飽きさせないストーリー展開も見どころのひとつです。もちろん、華麗な踊りを引き立てる音楽も生演奏。華やかなダンスに花を添えます。

(ステージを彩る音楽は生演奏)
登場人物全員が躍るクライマックスは圧巻です。
およそ2時間のステージでしたが、あっという間に感じるほど踊りと音楽に引きこまれた2時間となりました。
演目終了後、会場の外に出るとすでに夜の部の開始を待つ人たちの列が。Royal Balletの人気ぶりが会場外からもうかがえます。

(クライマックスのシーン)
公演を終えた一行は今後、スイスとアラブ首長国連邦でパフォーマンスする予定だそうです。
皆さんも今後機会がありましたら是非鑑賞してみてはいかがでしょうか。
カンボジアの伝統文化に触れることができた素敵な1日でした。